一過性全健忘(TGA)は記憶を一時的に忘れてしまう病気で、通常24時間以内に正常に戻ります。記憶のみが障害される病気で、発作は突然に生じ、発作中新たな記憶の形成がまったくできない前向健忘と、また発作前の記憶が消失しする逆向健忘が特徴です。
発作中の記憶形成障害と逆向健忘により、自分がどこにいるのかまた何をしているのかがわからず、状況を教えられてもその記憶を保持できずに再び同じ質問を繰り返す特徴的がありますが、失語症などは見られません。発作中は意識の障害や記憶以外の症状が生じないので車の運転等のかなり高度な行為も可能ですが、発作中の記憶は保持出来ず症状が回復すると覚えていない事も特徴です。
一過性全健忘は激しい運動での脳しんとうや、てんかん、精神的ショックで引き起こされますが、側頭葉内側部の海馬に記憶は存在している事わかっています。一過性全健忘発作中は両側の側頭葉内側部で血流が低下していますが、一過性全健忘は脳血管障害の危険因子ではなく、この血流の低下は脳機能障害の後に生じる二次的な現象であると考えられています。肥満の人はなりやすいと言われていますが、原因はまったく不明で、詳しくは分かっていません。
早い人で数分、多くの場合一晩寝れば記憶は自然と回復するので特に治療などはなく、後遺症も残らないし、再発する可能性も極めて低く、一生に一度しか起こらないと言われているので特に対処法などはありません。